2012年2月11日土曜日

ブランド名も値段もない、でも売れる:日経ビジネスオンライン

 アパレル販売サイトのスタートトゥデイが提供するiPhone向けアプリ「ZOZOTOWN」のダウンロード数が100万を超えて、会社の業績ともども順調に推移している(関連記事)。これは、同社が運営するファッション専門EC(電子商取引)モールと同名のアプリで、スマートフォン経由の売り上げは、アプリ提供の前と比べて6倍を上回る状況だという。

 2010年12月にアプリの提供を始め、その直後に米アップルのアプリ配信サービス「App Store」の無料アプリランキングで最高2位となった実績を持つ。ランクインしていたときは1日平均で2万件ほどのダウンロードがあったという。

 目立ったプロモーションなどしていないにもかかわらず、ダウンロード件数が伸びる理由は、既に構築したZOZOTOWNというブランドの強さが1つ。もう1つは、同社会員の属性の変化を捉え、それに即応した戦略を取る上で、スマートフォンというプラットフォームが極めて相性がいいことだ。

利用者のマス化にカテゴリー検索で対応する

 会員属性について、同社の鳥山大地マーケティング本部長はこんな解説をする。

 「ZOZOTOWNはその会員数が増加したことで、利用者が『マス化』してきています。かつては、商品をブランドで指名買いする人が多かったけど、最近はいろんなカテゴリーの中からたくさんの商品写真を見て、直感的に気に入った商品をピックアップして購入していく人が増えているのです」

 そのため、iPhoneアプリ版のZOZOTOWNで最も重視したのは、カテゴリー検索だ。トップページには男性服、女性服、子供服という3つのメニューがある。いずれかを選んで、「トップス」「アウター」などのカテゴリーを選べば、そのカテゴリーの商品一覧がスマートフォン画面いっぱいに広がる仕組みだ。

 左右に3段で、商品写真がズラリと並ぶ。それを下方にスクロールしていけば、次々と新しい商品が出てくる。その途中で、なんとなく気に入ったものがあれば、それを買う。こうしたシンプルな作りにするため、「特集コンテンツや複数のバナー広告といった余計な情報を極力省いた」と、同社の創造開発本部WEBクリエイション部の是井美咲ディレクターは言う。

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中村 勇介(なかむら・ゆうすけ)

編集者・ライター
ウェブ関連雑誌の編集者、日経ネットマーケティングの記者を経て、日経デジタルマーケティングに記者として従事。「楽天と百度、中国EC事業の提携解消へ」といったスクープから、「ゼンリン子会社が作った"麻薬"のような見込み客リスト」との風変わりな必見記事、「日産に学ぶ ソーシャルメディア時代の組織改革」という特集まで手掛ける範囲は幅広い。

スマートフォンビジネス最前線

爆発的な普及を見せるスマートフォンが一般消費者のライフスタイルばかりでなく、企業のマーケティングも大きく変え始めている。手のひらにあるスマホを使っているうちに自然と自社の店舗に誘導したり、スマホの画面上でモノを販売したり、顧客とのブランディングに活用したり…。使い方はさまざまだが、既に「実利」を手にする企業も増え始めている。それら企業の活用法に迫る。iPhone対Androidシェア争いのカギを握る新しい広告ビジネスの現実や、スマホを巡る米国生まれの新技術の日本市場参入なども紹介していく。

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